2016年10月24日(月)
10月16日(日)、この日は「世界食料デー(世界の食料問題を考える日として国連が制定した日)」です。その日に行われた「畑でレストラン2016」は、「大塚ファーム(新篠津村)✕ イタリア料理リッチ(Ricci)・川崎律司シェフ」。
大塚ファーム(新篠津村)
札幌駅から北東に約27km、新千歳空港から北へ約60km、新篠津村に位置する「大塚ファーム」。
大塚ファームは、2004年に、第1回コープさっぽろ農業賞「コープさっぽろ会長賞」受賞、10年後の2014年には、第43回日本農業賞「個人経営の部大賞」受賞され、有機栽培農家として高く評価されている農場です。
有限会社大塚ファーム・大塚裕樹 代表取締役社長のガイド
農場オーナーである大塚裕樹さんは、103年の農場を引き継ぐ4代目の43歳。ご自身が農薬アレルギーのため、20年前より有機栽培をスタート。
ランチ前の農場見学では、ミニトマトハウスや葉物の畑を見学しながら、大塚さんの有機野菜についての貴重なお話をじっくりと伺いました。
『農薬を使わない農業』を選択
「現在、有機栽培のミニトマト8種類を栽培し、農場では、ほうれん草・水菜・春菊・小松菜・チンゲンサイ・サラダほうれん草・赤水菜・青梗菜・パクチー・イタリアンパセリ・バジル(食欲をそそる効果があり、殺菌作用がある葉)などおよそ30種類の有機野菜を栽培しています。今年2016年で、103年を迎え、有機栽培をはじめて20年になります。
有機栽培をはじめたきっかけは、自分に農薬アレルギーがあったことです。『農業をやめるか、農薬を使わない農業をするか』のどちらかの選択を迫られ、『農薬を使わない農業』を選択しました。農薬・科学肥料を使わないで農業を行うことに特化しています」と、大塚裕樹さん。
納屋の二階デッキよりハウスの全景が見渡す
有機栽培のミニトマトとしては、北海道一の規模
「8ヘクタールの有機栽培(3年以上農薬・化学肥料を使っていない畑)を行っています。畑で一番栽培期間が長い所で20年。
ハウスは33棟あり、ほぼ90%ミニトマトを栽培しています。全長60mと75mのハウスです。
有機栽培のミニトマトとしては、北海道一の規模です。夏場のオーガニックミニトマトとしては日本一の規模です(夏場一番の収穫時期は2トンのミニトマトの収穫があり、ほとんどがレストラン「びッくりドンキー」の北海道・大阪・沖縄の店舗に納品)。
トマト甲子園で3連覇していて、大塚ファームのトマトは美味しいと評価を得ています。
新篠津村は有機栽培に適した土地
有機栽培のさつまいもは、90%が干し芋になります。去年第1回世界干し芋サミット」に参加。日本で有機栽培の干し芋は3農家のみで、北海道ではここ大塚ファームで栽培しています。
8種類の干し芋(安納芋・紅あずま・紅はるか・パープルスイートロード・タマユタカ等)を栽培。
新篠津は風が強く、雪が多い土地で、ロシアの冷たい風が、まっすぐ日本海に入ってきて、新篠津と岩見沢に雪を降らせます。一番多いときで累積降雪量12m。通常の積雪深さは1m30cm位で、それ以上は風が雪を吹き飛ばします。雪が多い分水が豊富となり、風が強いので、雪を溶かします。風がないと雪は溶けません。
虫は風速6mで動けなくなります。虫が少なく、病気も少ないので、有機栽培に適した土地と言えます。
北海道の有機栽培農家は274軒あり、その内、新篠津には25軒存在するので、ここは有機栽培を行いやすい地域と言えます。
天然の地下水を使用
有機栽培の特徴は水です。大塚ファームでは、152mボーリングして、天然の地下水を使っています。
野菜も全て、水道水ではなく天然の地下水で洗っています。野菜はツヤがよくて美味しい。
電動巻き上げ装置・雨センサーを設置
ハウスのビニールは、韓国製電動巻き上げ装置により26棟すべてコントロールしています。
また、ハウスの外に雨センサーを設置して、雨が降ると自動的にビニールの開口部が閉まるシステムになっています。
虫用に通路などに草が生える場所を作る
虫は草が好きなので、ハウスのまわりの草が生えていないと、逆に作物があるハウスの中に入ってきます。そこで、通路などに草が生える場所を作っています。
1つのハウスに1作物だけつくると、単純化し病害虫が異常発生しやすくなります。ハウスの両端には、バジルなどを植えています」と、ハンドフリーマイクをつけて丁寧に説明する大塚裕樹さん。
見学 & ミニトマトの試食
自由にミニトマトを試食しながらハウス内(有機JAS認定圃場ミニトマト「フラガール」)を見学。フラガールは、肉厚でさっぱりとした甘さがあり、深い味わいを持つミニトマトです。
「甘〜い!わぁ〜、おいしい〜!」と、トマトを味わう皆さん!
葉物の畑の見学
その後、さつまいも畑、葉物の畑(サラダほうれん草・サラダ赤軸ほうれん草・チンゲンサイ・水菜・春菊等)を見学。
その場で直もぎして、春菊・小松菜などを味わい、皆さんその美味しさに感動!!!
「春菊は、通常ハウスで栽培すると1か月でできますが、肥料を少なくしているので2か月くらいかかります。
その分細胞が細かく、料理しても煮崩れしにくい。シャキシャキしていて、スーパーに並ぶと固そうにみえます。
コープさっぽろなどで販売
各種野菜は、「コープさっぽろ」「スーパーラッキー」「東光ストアー」「イオンモール札幌苗穂店・元町店」など店内のコーナーで購入できます。
イタリア料理「リッチ クチーナイタリアーナ(RICCI cucina ITALIANA)」川崎律司 シェフ
「畑でレストラン2016」のフィナーレにふさわしい豪華な料理を演出するシェフは、イタリア料理「リッチ クチーナイタリアーナ(RICCI cucina ITALIANA)」川崎律司 シェフ。
川崎律司シェフは、京都出身の40歳。三重県久居市で育ち、札幌へ移住。札幌北陵高校では陸上部で活躍。国士舘大学で学び、卒業後は高校の保健体育科の臨時講師として勤務。
スポーツマンバリバリの川崎シェフですが、料理人として人生を歩むことになる切っ掛けは、幼い頃に培った、「お母さんのお料理のお手伝い」。
料理をすることが好きで、実家の一軒家で週末に一組だけのレストランを開いた所、評判となり、ついに26歳の時料理人になることを決意し、単身イタリアへ留学。
将来の夢は「廃校した小学校を購入し、農家さんと地元の方々、そして料理人などたくさんの人々が集い、学んで、繋がっていける空間を築いていきたい」とのこと。人と人との繋がりを大切に想う、心の温かい川崎シェフです(「札幌人図鑑」参照)。
「バジルの香り漂う素晴らしい環境の中で、お料理出来ることを心から感謝申し上げます。お料理とお酒とのマリアージュをお楽しみ戴ければ幸いです」と川崎シェフ。
川崎律司シェフのランチ
テーブルセッティング
テーブルセッティングは、カナダ製のハウス内(風速50mにも対応可能なハウス)。ハウスの両脇には、バジル&生姜が植えられ、バジルの香りに包まれて、ランチがスタートしました。
人参のポタージュスープ、リコッタチーズ
「最初は温かいスープを考えていたのですが、ハウスの中がかなり暑くなっているので、急遽、冷製スープに変更いたしました。
スープは、塩とバターだけの味付けで、人参の本来の味わいをじっくりとお楽しみください」と、川崎シェフ。
トッピングは、リコッタチーズと人参をスライスして素揚げもの。人参の甘さと脂肪分少ないさっぱりとしたリコッタチーズの相性が抜群!
秋刀魚のミルフィーユ、生姜のアクセント、ジェノベーゼソース、クスクス添え
マリネした秋刀魚を重ねて生ハムで包んだもの。生姜のソースをアクセントに。
クスクス(小麦粉を粒状にしたパスタ)とみじん切りの色とりどりの野菜が添えられた、絵画のようにスタイリッシュな一皿。
大塚ファームのベビーリーフサラダ、ヨーグルトソース
大塚ファームの葉物たちがたっぷりのフレッシュサラダ。下にはミニトマト&ヨーグルトソースが・・・
「まずは、葉っぱを塩味だけで、じっくりと味わい、その後に、ヨーグルトソースでさらに異なる味わいを楽しんで見てください」と、言葉を添える川崎シェフ。
バジル入りブレッド
紅芋とさつま芋のニョッキ、ゴルゴンゾラソース
大塚ファームの紅芋とさつま芋のニョッキ(お芋をベースに小麦粉を合わせてこねたもの)。
ゴルゴゾーラ(青カビチーズ)の芳香な香りとまろやかな塩味が、ニョッキとベストマッチ。ハチミツの甘さが、全体を優しく包み込む絶品!トッピングのナッツがアクセント ♬
パータフィローで包んだ別海町産サフォーク羊の煮込み、温泉卵、ジャガイモのクレマ
じっくり煮込んだ別海町産サフォーク羊をパートフィロ(小麦粉・水・塩・オイルで作った薄皮)で」包んで揚げたもの。
とろとろの温泉卵、たっぷりのスライストリュフでトッピング。下に敷かれたじゃがいものソースは、じゃがいもをペースト状にしてチーズを加えたもの。濃厚で味わい深い、最高の一皿!!!
かぼちゃのティラミス
かぼちゃのピューレを挟んだティラミス! 「ティラミスにカボチャピューレは初めてです!」と、川崎シェフが、はじめて挑んだ渾身の自信作。
チョコケーキとクッキーを添えて! デリシャス!!!
食後のコーヒー
食後には、川崎シェフ自ら各テーブルをまわり、皆さんとの会話を楽しみました。
最後に、スタッフの皆さんの感謝のご挨拶。
川崎シェフの温かい真心と美味しい笑顔が繋がり、
沢山の人々の心がひとつの大きな輪になって広がった、
素晴らしい、感動的なひとときに心から感謝いたします。
ありがとうございました。
お土産:大塚ファームの「有機野菜のラスク」
生命みなぎる食べものが紡ぐ、
人と人との素敵な心の架け橋に、
限りない愛と感謝と笑顔をこめて。。。
その他の写真
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・大塚ファーム・オフィシャルページ・北海道新篠津村の有機野菜
・イタリア料理「リッチ クチーナイタリアーナ(RICCI cucina ITALIANA)」オフィシャルページ
・札幌人図鑑:第1034回 RICCIクッチーナイタリアーナ・シェフ 川崎律司さん
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☆ noboru & ikuko