2018年8月9日(木)
7月29日(日)、(株)シィービーツアーズ主催の国「道275号の歴史街道・町長がバスガイド・幌加内町長編」が開催されました。

今回は、そばの町・幌加内町・細川雅弘町長がバスガイドをするツアーです。
当日の参加者は、満席の35名。幌加内町の気温が34℃を超える暑い1日となりました。そば畑のビューポイント・白銀の丘、そばの実工房、利雪型低温倉庫「雪の御殿」、せいわ温泉ルオントでのそば昼食、雨竜第一ダム見学、朱鞠内湖での遊覧船乗船、、幌加内そば道場でのそば打ち上体験など巡るバスツアーです。

今回のツアーの添乗員は、気配りが嬉しい山田巳幸さんです。首町がバスガイドシリーズではいつもお世話になっています。ありがとうございます。

朝8時に中央バス札幌ターミナルを出発し、途中「道の駅ライスランドふかがわ」で休憩を挟み、幌加内町長が添乗する深川市多度志へと向かいます。
▶ 幌加内町・細川雅弘町長のお話

「今日一日随行させていただく、幌加内町観光協会・古屋大輔さん、役場の観光担当・松岡さんです。どうぞよろしくお願いします。
私は昭和31年3月生まれ、62歳です。滝川工業高校卒業後、埼玉県の民間企業に就職するも1年で北海道に戻りました。昭和50年に幌加内町役場に入職。数々の課長職を歴任後、平成27年4月に幌加内町長就任しました。
今日は、観光だけでなく行政視察のようなしても含めて、幌加内町を実感していただきながらご案内させていただきたいと思います。
幌加内町は、南北方向63km、東西方向24km、面積767平方km。人口が1,519人(2018年3月)、人口密度1.98人/平方kmになっています。
幌加内町は、「そば畑面積日本一・3,400ha作付け(東京ドーム720個分)」「日本最大の人造湖・朱鞠内湖」「日本最寒記録マイナス41.2度(昭和53年2月17日記録)」という3つの日本一を有します」。
「そばに関しては、昭和55年の300haを超えた頃から、すでに日本一でした。そばが増加した理由のひとつに、米の生産調整による畑作転換が引き金でした。
昔は『じゃがいも、生乳、お『米』の三白農業でした。また、お米の北限地帯とも言われていました。転作奨励金がの開始をきっかけに、お米をやめて、そばは手間がかからないという理由で、そばへの転作が行われ、そば畑が増加。
そばを作付けし、出稼ぎに出るという形態が進みました。現在、約110戸の農家がそばの作付けを行い、1戸あたり平均30haの農地を所有し、年間の労働時間は700時間程になります。都会での通常のサラリーマン労働時間は1,800時間なので、半分以下の労働時間といえます。水稲農家の場合は、平均15haで、労働時間2,400時間と言われております。さらに酪農は手間がかかり、30頭規模で3,200時間夫婦合わせると3,800時間の労働だと言われています。
そば農家は、労働時間が少ない上に、トラクター運転ができれば、高齢になっても労働が可能。70代でも現役でバリバリに仕事をこなしている方々が少なくありません。さらに幌加内町には遊休農地がほとんどありません」。

「幌加内町は、アイヌ語で『逆流する川』という意味があります。左に見えているのが、水田に水を送るための貯水池(下幌加内地区)です。今は満水ですが、秋になると水を落とします。
今年、幌加内町は天気にいじめられました。48年ぶりに北海道の記録を塗り替え、今年2月25日に最深積雪量3m24cmを記録しました。災害対策本部を設置し対処しました。除雪で道路がトンネルのようになったり、FFストーブの排気口が塞がれ、ストーブがつかないという連絡が数件入りました。
そば祭のために早撒きした蕎麦が、6月10日に遅霜(晩霜)にやられ、撒き直しをしました。7月2日からの雨で、2日間で150mmの降水量(通常は7月の1ヶ月で120mm)を記録し、かなりそば畑の被害を受けました。
今年のそば畑は、水ヤケにより成長阻害がでていますが、ここ数日の晴天で、なんとか挽回してくれるのではないかと期待しているところです。
そばは、自分で受粉できないので、訪花昆虫たちに受粉の手助けを借りて受粉します。独特の香りを放って、虫達をおびき寄せます。この匂いが強い年は、出来秋がよいので、大歓迎な匂いです。
そしてそばの蜂蜜も人気です。ヨーロッパなどでは、そばの蜂蜜は高級品として扱われています。また喉によいということで、著名なミュージシャンにも愛用されています」

幌加内町では、そばの里大使に上杉周大さんに就任していただいています。

▶ 白銀の丘見学

「蕎麦の自給率は国産は2割で、8割は中国やカナダなど海外からの輸入です。
今年のそばまつりに元横綱朝青龍明徳さん(モンゴル大統領特使)が出演します。朝青龍さんは、青年実業家として政府から3万ヘクタールの農地を無償で借りて作物を栽培中。幌加内の畑で蕎麦栽培をしていることから、幌加内農協がモンゴルに関わっています。
幌加内高校は町立の高校で、全国で17か所ある町立高校のひとつです。特徴のある授業を実施する高校として有名で、蕎麦の授業を必須科目としています。
生産からそば打ちまで、全麺協が主催するそば打ち段位認定取得が卒業資格に義務付けられています。そばまつりには、幌加内高校が参加しますが、今や一番人気で行列ができるほどです。
生徒さんは町外出身者が多く、町内の寮で生活しています」と、丁寧に説明される細川町長。

▶ そば関連工場見学
「これから見学する 『そばの実工房』は、玄蕎麦から皮をむいたそばの実を作る工房です。NHK放送で、そばの実がダイエットに効果ありということが紹介されて以来、需要が伸びています」。
▶ そばの実工房
説明は、JAきたそらち幌加内支所営農課・下津竜次さん。原料受入から、精選、計量、選別、皮剥き、袋詰、貯蔵までの作業の流れについてのお話です。


「玄そば45kgから皮をむき、そばの実が取れるのは30kg。歩留まりは7割くらい。一元集荷で乾燥調整を行うので、玄そばの粒が揃う。さらに歩留まりがよいので、高く売れる。
そば栽培は、純利益で800万円ほどの収入。初期投資額が大きいので、新規就農は難しい。親の基盤があって、後を継ぐ形がほとんどです。
そば畑作付け面積が増加した理由の一つに、酪農家からの転換があります。酪農よりそば栽培の方が、労働的にはかなり楽だということです」と、下津竜次さん。


▶ 利雪型低温倉庫「雪の御殿」
JAきたそらち・荒田さんの説明です。

「冷房の熱源に雪エネルギーを活用して、玄そばを12℃~14℃という低温保管することにより、酸化を抑制し品質低下を防止して、そばの風味を保持できま」す。

▶ 雪の御殿:温度制御システム
「貯蔵庫内空気と雪解け水との熱交換により貯蔵庫内を冷房します(通年15℃以下)」。
▶ 貯雪庫の雪:650ton

今年幌加内町は、2月5日に積雪量3m24cmを記録。町内の商店の壁に、ジャイアント馬場を超える積雪量の高さがペイントされていました。
▶ ポンカムイコタン鉄橋
「せいわ温泉ルオントに向かう途中見えてきたのが、雨竜川の清流に架かる『ポンカムイコタン鉄橋』名寄市と深川市を結んでいた深名線の鉄橋。昭和6年に建設された、国内初の吊橋式の橋梁で、北海道土木遺産に認定されています。
解体撤去の話が持ち上がった時、地元の保存会が設立され、ボランティア活動により町の宝物として大切に残されています」と、細川町長のお話です。

▶ せいわ温泉ルオント
昼食は「天せいろそば」。幌加内町の「ルオント」は、フィンランド語で「自然」を意味します。
美味しい「天せいろそば」をいただきました。


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▶ バスツアー・シィービーツアーズ
・ホームページ・バスツアー「旅する」
・Facebook「シィービーツアーズ(北海道中央バスグループ)」
☆ noboru & ikuko
幌加内町
役場:北海道雨竜郡幌加内町字幌加内4699
Tel:0165-35-2121
【面積】767.04 km2
【人口】1,546 人(2018.3.31)
【高齢化率】39.1 %(2018.1.1)
【ホームページ】幌加内町 – 北海道の大自然の中で、日本一が3つあるまち