2015年11月25日(水)
10月18日(日)、シィービーツアーズ(戎谷侑男 社長・本社:札幌市)の日帰りバスツアー「月形町長が語る国道275号の歴史街道、魅力あふれる月形三昧」に参加してきました。
月形町・櫻庭誠二 町長が集合場所の「中央バス札幌ターミナル」から同乗されて、月形町の魅力を丸ごと語り尽くすツアーです。
予定によると、櫻庭町長はJR石狩当別駅から乗車されることになっていましたが、櫻庭町長自ら札幌ターミナルまでお越しになり、皆さんをお出迎えされました。
バスツア−の概要を説明するシィービーツアーズ添乗員の白田剛さん。
「札幌から国道275号を通り、JR石狩当別駅へ向かいます。JR札沼線の列車(旧ディーゼル機関車)に乗車し、石狩月形駅の次の駅『JR豊ヶ岡駅』で下車。豊ヶ岡駅は、札沼線を代表する秘境駅です。月形駅からの途中、『月形刑務所のグランド』などが見えます。
昼食は、月形町の『お食事のお店・ポポット』『サカイのジンギスカン弁当』。そして、最北限の杉の国有林を散策し、『溝口菓子舗』で月形名物『月形まんじゅう』のお買い物となります。『篠津山囚人墓地見学』、『石狩川頭首工見学』、そして『月形樺戸博物館』へと向かいます。
本来ならば、月形の櫻庭町長は、JR石狩当別駅の乗車となっておりましたが、JR乗車でのマイクを使った説明が不可能ということもありまして、札幌から同行してバスの中で皆さんにお話しして戴くこととなりました。それでは、櫻庭町長お願いいたします」と、白田さんから説明がありました。
▶ 本日の見どころについて櫻庭町長のお話
「JRの廃線・便数の減少が懸念されている中、今回のバスツアーでJR札沼線の乗車の企画が実現しました。今のツア−は3回目ですが、JR乗車ということで、前回よりもツアー料金が500円高くなっておりますが、沢山の方々にご参加戴きありがとうございます。このツアー参加が2回目という方、また遠方の鹿追町からもご参加戴きました。
電車を利用し、札幌から当別駅までは、4両から6両編成で39分間で到着します。
<旧ディーゼル気動車で豊ヶ岡駅まで乗車>
石狩当別駅から石狩月形駅までは、接続が悪く、しかも旧ディーゼル気動車で、車速が遅いなどの理由で、これまで利用したことがありませんでした。今回、皆さんを案内するということで、先日乗車してみました。今まさに、紅葉の最適な季節です。月形駅を過ぎると、右手に月形刑務所が見えてきます。国道を走る車では刑務所の塀しかみえませんが、ディーゼル気動車の窓からの景色は、高い位置から刑務所の建物を一瞬だけ映し出します。さらに、何故こんな所に駅が存在したのだろうというほどの駅周辺の景色を見て、豊ヶ岡駅が、秘境駅と言われる所以を実感いたしました。木立の中にぽつんと佇む駅に身を置くと、昔懐かしい原体験を思い出すような駅です。
<篠津山(しのつやま)囚人墓地参拝>
前回行われた当別町と浦臼町の博物館の見学がなくなりましたので、今回のツアーは、篠津山囚人墓地へと参ります。墓地には、1,022名の御霊がお眠りになっていらっしゃいます。そして416基の土まんじゅう(埋葬によってできた土の盛り上がり)が今なお残されています。その地に立って佇んでいただければ、何か感じていただけると思います。
<石狩頭首工(とうしゅこう)見学>
石狩頭首工は、国が500億円の工事費をかけた管理橋。頭首工の真ん中に立つまでは大河と見ていた石狩川が、そこに建つ頭首工の巨大さによって、小さな川のように感じました。それほど大きな建築物を築き上げていった人々の計り知れない努力を実感しています。今回のツアーで、皆さんが現場に立って、その場の空気を身体と心で感じていただければと思います。
私は生粋の雨男。公式行事がある時は必ず雨が降るという程の雨男です。雨だけはふらなければいいなと思います。
<キハ40普通列車>
当別駅から乗車する列車は、キハ40普通列車です。
北海道内で、電化していないディーゼル気動車は、217両あるそうです。キハ40は、その中でも製造から30年以上たっている古い気動車。JRの廃線・便数の減少が叫ばれている現在、JRの利用者を増やしたい、列車の魅力を知って頂きたいという思いから、今回の企画が実現しました。電車にはない、ディーゼル気動車の味わいを実感して戴きたいと思います。
<昼食のお店『ポポッット(Popote)』>
お土産は、『まろやかとうふ』『月形まんまるトマト』『まんまる納豆』、そして『カフェ萌木』の食パン。今回のツアーの昼食となっている『お食事の店・ポポット(Popote)』は、オムライスが人気のお店です。
松田とうふ店の『まろやかとうふ』は、個人的に私から、参加戴いた皆さんへの お土産とさせて頂きました。
その他のお土産として、『カフェ萌木』の角食パン、『月形まんまるトマト(月形産トマト・桃太郎)』、障害者支援施設『雪の聖母園』、オリジナル納豆『まんまる納豆(月形産大豆・トヨムスメ)』を用意致しております。知的障害者更生施設・つきがた友朋の丘・福祉の店『萌木』の食パンは『これほど美味しいパンを食べたことがない!』と皆さんに言われるほどで、日本で一番美味しいパンと自負しております。
<月形の水『精霊の雫』>
ある講演会で、私が『北海道には地の霊が住んでいる』という話をしたところ、聴講されていた北海道大学の教授が、『月形町の森には精霊が住んでいるよ』と言われました。森の精霊が作った水、そして月形町には水源地があるので、それ以来、月形町の水道の水を『精霊の雫』と呼んでいます。
障害者支援施設で納豆を作りはじめたところ、最初から美味しい納豆ができました。『水が良いから大豆が水をよく吸収し良く発酵するので、美味しい納豆ができるのです』という担当者のお話でした。
『美味しいパン』も同じで、キーワードは『水』。同じ小麦粉でも、混ぜ込まれていく良水によって、ふっくらともちもちとしたパンが出来上がります。パンの美味しさの秘密が、月形町の『精霊の雫』にあります。どうぞ、月形町のどこかで『精霊の雫』である美味しい水を飲んで戴きたいと思います。
<樺戸集治監(かばとしゅうじかん)とは>
明治維新の動乱が全国各地で起き、多数の国事犯の収容施設として、明治12年(1879年)に東京都小菅に東京集治監、宮城県に宮城集治監を設置。さらに未開の地である北海道が流刑地として候補び挙げられ、明治14年(1881年)に北海道初の集治監である樺戸集治監が月形に設置されたました。
月形の地が選ばれた理由は、大河である石狩川と奥深い森林に挟まれており、冬は雪に閉ざされる過酷な地であること、これらによって囚人の脱走を阻止できること、さらに、農耕地としての肥沃な大地が広がっていることなどが上げられます。
その後、明治15年(1882年)に、空知集治監が現在の三笠市に、明治16年(1883年)に三池集治監が九州の大牟田市に、明治18年(1885年)には、釧路集治監が標茶町に設置されました。明治24年(1891年)、北海道集治監官制により、月形が北海道集治監本監となり、空知・釧路・網走は分監となりました。
人口3,500人の月形町の特徴は、130年前を偲ぶ町並みがそのまま残されおり、当時と変わっていないところです。親戚・家族・親・兄弟など、町民一人ひとりの繋がりが深い町です。
小さな町だからこそ、できることがたくさんあります。住んでいる皆さんが、『わが町は良い町・他の町にはない歴史を持っている』ことに誇りを持って、今後も生きて欲しいと思います。
今日は、月形町の良い所を、皆さんに知っていただけるよう、精一杯努めて参ります。どうぞ、よろしくお願いいたします」など、懇切丁寧に月形町の魅力を沢山語って下さった櫻庭町長です。
▶ JR石狩当別駅から豊ヶ岡駅まで気動車に乗車
・列車にカメラを向ける鉄道ファン
・月形刑務所を通り過ぎる風景
・紅葉のトンネルをくぐって
・JR豊ヶ岡駅 下車
・JR豊ヶ岡駅 構内
・JR豊ヶ岡駅を下車してバス乗車までの道は、紅葉が綺麗な広々とした風景が広がっています
再びバスへ乗車・・・
▶ 月形町の特産品について櫻庭町長のお話し
○ 特産品その1:月形メロン「キングメルティー(幻の青肉メロン)」
「楕円形で網目が薄く肉質が絹のようになめらかなメロンで、夕張のメロンよりも先に『日本農業賞』を受賞しました。全道で最初にこのメロンに取り組んだのが月形です。しかし、クロネコヤマトの贈答品には、夕張メロンが選ばれました。『キングメルティー』メロンは、日持ちがしない、ネットの張りが夕張の方が優るということが理由です。
○ 特産品その2:花卉(かき)
300種類の花卉の栽培をおこなっています。品種の多さは日本一、全国で花がなくなると、一番先に電話がかかってくるのは月形農協ともいわれているほど多種多様な花の栽培をしています。
○ 特産品その3:ジンギスカン
昼食は、町内の『お食事のお店・ポポット(Popot)』で『サカイのジンギスカン弁当』。『肉のさかい(酒井畜産)』は、創業57年のジンギスカン専門店。醤油ベースの秘伝の特性タレで味付けしたジンギスカンです」と、櫻庭町長。
・バスは、月形町内の「ポポット」へ到着!
▶ 昼食「特製ジンギスカン弁当」@ポポット(Popote)
・今回のツアーのために作った「特製ジンギスカン弁当」についてお話されたポポットの店長
「特製ジンギスカン弁当は、酒井肉店のジンギスカンと東出農園の野菜をふんだんに使った特製弁当です。デザートのパンナコッタは、月形名産『まんまるトマト』を使用したトマトゼリーが二層になったオリジナルスイーツです」と店長。
<特製ジンギスカン弁当>
・ジンギスカン(羊肉:さかい畜産)
・なすとエビの和風あんかけ(なす:東出農園)
・ミニトマトのファルスグラタン(ミニトマト・なす:東出農園)
・キャベツ・ピーマン・人参・パセリ(東出農園)
・ポテトサラダ:キタアカリ(東出農園)
・いんげん豆の胡麻和え(いんげん豆:東出農園)
・ご飯:ななつぼし(加藤農園)
・お味噌汁(かぼちゃ:東出農園)
・漬物:大根醤油漬け(サトニクラス)
・デザート:当店手作りパンナコッタ・トマトゼリー(まんまるトマト)
・お店の前の道沿いには「さかいのジンギスカン」酒井畜産㈱のお店が。。。
▶ 月形町内の見学
・途中、トイレ休憩に「樺戸博物館本館」に立ち寄り
<獄舎の鐘「点鐘(てんしょう)」>
・玄関に備えられている鐘は、獄舎の鐘「点鐘(てんしょう)」で、囚人の行動時刻(起床、食事、就寝など)を知らせる鐘
「この鐘は、『出世の鐘』です。これまでここを訪れた力士等が次々に出世しています。また、馬が『春の天皇賞で優勝』したこともあり、馬の出世にも効果があります。
是非、皆さんも今日は2回『時の鐘』を鳴らしていってください!鳴らせば鳴らすほど効果あり!
高齢者の方が、『私には出世はもう関係ない』と言われましたが、あの世に行っても出世しますので(車内笑)、どうぞしっかり鳴らしていってください」と、櫻庭町長。
<樺戸神社>
・バスの窓から樺戸神社を参拝。。。
<月形の杉林>
「最北限の国有林杉林)杉を植えて120年経過。600本のうち360本が杉として育っています。月形町の全てを見取っている守り神といえる杉林です。5分だけ歩いて頂いて、杉のもっている100年の歴史を感じ取って戴きたい」と、櫻庭町長。
<小学生による桜の植樹>
「桜の植樹も小学生にやってもらっています。月形町130年にちなんで、1,300本の杉を小学生に植樹してもらいました。5年になりますが、この先100年、200年、この月形の町を見守り続けてくれると思います」と、櫻庭町長。
<円山に狼煙を揚げて、道路をつくった歴史のある場所>
・明治19年に作った道路として有名(大型バスでは通行不可)
「三笠から旭川までの道路を樺戸集治監で道路開拓をしました。明治22年~24年(1889年〜1891年)にかけて、国道275号線の浦臼町・新十津川町・雨竜町・北竜町・増毛町までの、増毛街道まで囚人がほった道路です。札幌琴似川直線13kmは、河ではなく囚人がほった運河で、札幌の発展に大いに役立ちました」と、櫻庭町長。
・再び、バスの中での櫻庭町長のお話です
<樺戸監獄物故者追悼式>
・北海道開拓の原点になって犠牲になった1,022名の御霊の追悼式が、毎年9月3日に開催されます(町内外160名の招待者)
「この追悼式に参加した月形高校の丸木克朗 前校長(現在 釧路江南高校 校長)が、『月高ネットワーク』(校内に配布する情報誌)の中で、『縄文時代の貝塚はゴミ捨て場と思っていましたが、調べてみたら、生きとし生けるもののすべての命をお祭りする祈りと感謝の場所であったことがわかりました。その精神こそが、縄文文化が1万年続いた理由でもあります。同じように、この追悼式に出席して、ここが祈りと感謝の場であると感じました』と丸木 前校長がおっしゃったこの言葉は、私にとって嬉しい言葉でありました。これからも、囚われの人というのではなくて、北海道開拓の原点になって犠牲になった人として、これからもしっかりお慰めしていくことが、樺戸集治監があった私達の町の使命であると考えていたところであります」と、しみじみと語る櫻庭町長。
・バスは、溝口菓子舗に到着
▶ 溝口菓子舗で月形名物「月形まんじゅう」お買い物
・皆さん、月形名物「月形まんじゅう」をお土産にお買い求め。休日返上で町内でアテンドされていた役場の観光課の職員の方が会計をお手伝い。一人10箱も購入される方もいて、あっという間に完売です。
▶ 篠津山囚人墓地見学
・樺戸集治監の開監から廃監までの39年間に獄死した1,022名の無縁仏の魂が眠ります。全員で黙祷を捧げました
▶ 石狩川頭首工(とうしゅこう)見学
・石狩川頭首工は、約8,000ヘクタールの穀倉地帯の用水路に水を運ぶため、石狩川を堰上げる施設
・石狩川頭首工の事務所でスライドによる丁寧な説明がありました
・昭和30年代(1950年代)に、人工的に造られた篠津運河とともに整備されましたが、老朽化したため、北海道開発局が北海道との共同事業(国営かんがい排水事業)として、平成14年度(2002年)から全面改修が開始。新頭首工は13年の歳月をかけて、管理用道路の一部を残して今年完成。管理橋は、岩見沢市北村豊正地区と月形町南耕地地区をつなぐ広域農道として、平成29年(2017年)4月の供用開始を予定とのことです
・雨の降る中、樺戸博物館へと向かう
▶ 月形樺戸博物館
・明治時代の多くの内乱の発生により、多数の国事犯を収監する施設が必要となり、明治14年(1881年)、月形に東京都・宮城県に続き全国で3番目、北海道で最初の集治監「樺戸集治監」が建立。明治14年(1881年)から大正8年(1919年)までの39年間使われ、廃監
・樺戸集治監本庁舎は、月形町役場として利用された後、北海道行刑資料館となり、平成8年(1996年)には「月形樺戸博物館」と名称変更
・平成14年(2012年)4月に現在の建物としてリニューアルオープン
・監獄長である典獄は、初代典獄・月形潔 氏を筆頭に、第2代典獄・安村治孝 氏、第3代典獄・大井上輝前 氏、第4代典獄・石澤謹吾 氏、第5代典獄・長屋又輔 氏、第6代典獄・五十嵐小弥太 氏、第7代典獄・黒澤迪 氏、第8代目典獄・関省策 氏が務めました
・樺戸博物館には、貴重な集治監資料が数多く展示されています。館内ひとまわり、丁寧にじっくりとお話してくださった櫻庭町長。見事なガイドぶりに、皆さん関心して聞き惚れていました。残念なことは、館内が撮影禁止だったことです
博物館見学後、櫻庭町長とともに役場の方々が最後のお見送り!
月形の魅力を満喫できた素晴らしいツアーをありがとうございました!!!
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▶ バスツアー・シィービーツアーズ
・ホームページ・バスツアー「旅する」
・Facebook「シィービーツアーズ(北海道中央バスグループ)」
✧ noboru & ikuko
月形町
役場:北海道樺戸郡月形町1219番地
Tel:0126-53-2321
【面積】151 km²
【人口】3,506人(2015年10月31日)
【高齢化率】36.9%(2015年1月1日)
【ホームページ】月形町