浅田次郎著『おもかげ』人生における真実の愛を呼び覚ます

2018年3月6日(火)

『おもかげ』浅田次郎著。定年の日に倒れた男の心揺さぶる、愛と真実の物語。

「おもかげ」浅田次郎
「おもかげ」浅田次郎

定年退職した竹脇正一が送別会の帰り、地下鉄の中で倒れ意識不明に。。

病院の集中治療室で横たわる正一は、体外離脱(幽体離脱)して、魂の世界を彷徨いながら、これまでの人生を振り返る。。。

「私をおいて行かないで」という妻の言葉に、正一は、妻や家族への愛(想い)を改めて認識する。意識下(魂の中)で実感する愛の深さを表現した小説です。

浅田次郎著『おもかげ』愛と真実の物語
愛と真実の物語

定年という人生の節目、セカンドライフを歩もうとした時に、あえて忘れようとしていた、これまでの人生を振り返ることによって、歩むべき人生の本当の意味を実感していく正一。

意識の中から、消し去っていた辛い記憶。。。
その記憶を、敢えて蘇らせたからこそ見えてくる真実の愛。。。
憎しみの中に存在する愛する心、愛する心の中に存在する憎しみの心。。。

人間の心に存在する表裏一体の意識「正と悪」「光と影」「愛と憎しみ」。。。
これらは、片方だけでは存在できず、2つのものが同時に存在してこそ、ひとつのものとして成り立つもの。。。

まさに人生そのもの、夫婦の在り方の大切さを感じさせ、
人生における真実の愛を呼び覚ましてくれるような小説です。

☆ noboru & ikuko